中学生から、二階の真ん中の部屋に移った。鍵の付いたドアがあって、怒られると部屋に閉じこもるんだけれど、すぐ母にヘアピンで外から開けられてしまう。ベッドが置いてあるところは畳だったけれど、奥の机が置いてあるところは、赤っぽい絨毯が敷いてあった。


ある今朝方、多分ネコが入っていてびっくりした。ガサガサ音がするので、開けたらネコが飛び出してきた。真っ暗だったのでどこに行ったか分からず、また寝た。


部屋の一番奥に、勉強机が窓を向いて置いてある。引き出しは三つぐらいあったけれど、一番上の引き出しに、文房具が入っていたぐらいしか覚えていない。

その部屋の奥の行き止まりの入口

私の部屋は二階の真ん中で、そこは、手前の畳の部屋と、奥の勉強するスペースと分かれていた。奥の部屋は、その家の中で唯一のフローリング。当時、フローリングという言葉に憧れていた。


ある夜のこと、窓の隙間からネコがにゃーにゃー言いながら入ろうとしてくる。入ってこないように手で押し戻すんだけれど、その毛の感触、生暖かさ、骨格の小ささなどの感触が気持ち悪かった。


机の一番右上の引き出しの中に、文房具に紛れて、壊れた体温計が入っていた。水銀がこぼれて小さい銀の玉を作っていた。コロコロ転がして遊んでいた。一番下は、ノートとかが入っていたと思うんだけど、真ん中の引き出しの中身は、全く思い出せない。

ある部屋にまつわる二人の記憶。一人が住んでいた部屋に、もう一人が入り込み、後に最初に住んでいた一人が出て行き、そこに残されたもう一人がその後住んでいた。その部屋の記憶の話の中で、同じ場所、事柄、ものなどの共通する箇所。しかし、話を聞いていくと、双方のずれがあることに気がつく。似ているようで少し違う二つの物語が垣間見られる。

1. カーペットか床板

    100×158×16.8mm

    木、塗料

    2009


2. 服を掛ける

   40×600×305mm

   木、塗料

   2009


3. そのネコ

    寸法可変

    ネット

    2009


4. 一番目の引き出し

   90×380×180mm

   木、塗料

   2009

5. ドアの向こう

    寸法可変

    フェルト布

    2009


6. マンハッタン

    203×255mm

    紙にアクリル絵具

    2009